かくしごと(空色MIX)

webライターっぽい女のオタク気質ライフ。 ライブレポ、何かの感想、日常、思考整理。まずは素直な文章を。

100パーセントのバランスで

職場で気になる人がいる。
と書くとゴシップ的な話題を期待するかもしれないが、違うそうじゃない。そもそもそんなことをいきなり誰でも見られるブログで宣言するはずがない。さっそく非公開にするつもりか。

ここではその類とは違う、純粋に気になって仕方がないあることについての話。

 

現在勤めている会社は比較的、というかかなり自由な社風であるから 休憩のタイミングやランチの時間もある程度は融通がききやすい。
10年以上WEB系や音楽系など就業スタイルが割とゆるめな企業にばかり属しているので、必ず12時から全員お昼に行く!的な環境にはもうなかなか馴染めないかもしれない。その環境が最初から当たり前であればきっと楽しめているとは思うし、規則正しさは羨ましいところでもあるけれど。
以前の昼食は外食(おいしいお店巡り大好き)が9割を占めていたのだが、今はそれ以外のスタイルもかなり増え 多いときは7割近くが「外食以外の何か」になっている。
料理の練習や節約を兼ねて自宅からお弁当らしきものを持って行ったり、職場近くのスーパーマーケットで不足しそうな副菜を買い足したり、コンビニエンスストアで気になるメニューを試してみたり(セブンイレブンの鯖の塩焼きにハマッた)。

外食はもちろん大好きだけど、自炊も(料理コンプレックスはあれど)面白くなってきたしコンビニごはんのクオリティも高いものばかりで日々助けられている。ただし外食を完全にやめたわけではなく、あくまで「減った」だけだけれど。

 

私は「バランス」を事あるごとに自分へのキーワードにしてきたので、多分どれも100%じゃなく「ほどほど自由に存在している」状態がちょうどいいのだと思う。
100%お弁当はまだ難しい。100%コンビニも飽きてしまうかもしれない。100%外食でもいろいろと「もたれる」。そう考えると今の「どちらもある状況」が結構気に入っているのである。
9割外食だった頃には分からなかった外食のありがたさや楽しみ方をダイレクトに感じられるようになったことも発見だった。質の高い料理を味わっていただくことや何気ないコミュニケーションの大切さはもちろん、他テーブルでの会話で人間観察の面白さを垣間見ることも生活の中で結構大事なのかもしれないな…と思ってみたりしながら。


この前も、同棲中の彼女に突然「実家に帰る」ことをほのめかされた男子が全く危機感なく「帰るとしたら、ちょっとイヤだな~っとは思いました。」と同僚らしき男性にのほほんと話していた席に出くわした。

「…それ、帰るイコール別れるってことじゃね?」同僚らしき男性が彼女の代理で通訳をすると、のほほん男子は「!!…ってことなんですかね~!?やっぱり~…?そうなのか~…」とのんびりとした声(地なのだろう)をあげていた。
「でも、急なんですよ~?」私「(たぶんそれは、急じゃないんだな~…)」そんなエピソード、外に出なければダイレクトに感じられないわ。彼絶対に面白い人だった。頑張ってほしい。

 

あとたぶん、外食をしてきたことで自分の味覚が以前より鍛えられたような気がしている。以前は食にほぼ興味がなかったから、正直どれを食べてもおいしいようなそれなりなような気がしていたこともあった。

でも今はこんな私が「あの店がお気に入り」と「好きな味」を自覚するようにまでなったのだから人生は分からない(お気に入りの店もいつか紹介できたらいい)。
味オンチ、食に興味なしのまま自炊をはじめていたら恐ろしいことになっていたかもしれなかった。食に興味が出たからか体重は恐ろしいことになっているが、それは私の食べ方のバランスの問題だからね。

 

外食や隣のテーブルの話はまた別の機会にすることにして、今回はそれ以外のランチを選んだ日の話。
「お弁当」または「買いめし」を選んだ日は、オフィスの休憩スペースにある座り心地の良いソファに座りながらダラダラと好きなことをして過ごすのがささやかな楽しみである。オフィスにはちょっとした打ち合わせや休憩を取りたい社員のために設けられた、風通しの良い(仕切りがないのだ)フリースペースがある。打ち合わせの声なども聞こえてくるため完全な外界シャットアウトは難しいが、私はこのスペースが結構気に入っている。椅子の色や床の色が明るくてカラフルで、心が少し弾むのだ。昼過ぎになると、そのスペースに「外食以外組」や「ちょっと休憩したい」社員たちが集まってくる。
外の景色を見下ろせる位置にカフェのカウンターのようなテーブルと複数の椅子が設置され、そのすぐ後ろに私のお気に入りのソファが設けられている。ソファは鮮やかなグリーンで、黙っているだけでも(?)オシャレであることが分かる。
人気カフェと同じく、どのスペースを確保できるかは早い者勝ちというかタイミングである。私のお気に入りのソファはもちろん私だけではなくどんな社員でも使用可能なものであるから、毎回すんなりとその席をゲットできるわけではない。狭いソファではないのでもちろん相席も可能なのだが、大抵のみんながなんとなく「今日は人がいるな、では自分はカウンターで…」と遠慮をしている空気を感じる。
私もその配慮をすることが多いけれど、正直な話、時と場合による。「相席しても大丈夫だな…」と独断で思ってしまった相手には気を使わず「おつかれー、隣いい?」と言ってしまうこともあるし、ソファを覗いて「お、今日は誰もいないな」となった日は、少なくとも「誰かが来るまで」は自由にダラダラと休憩時間を楽しませてもらっている(楽しんでいるときの相席も全然構わないので誤解なきよう…大抵スマホか本でニヤつくか仮眠しているだけなので…!)。
数か月もそれを続けると、固定客…客ではないな、固定メンバーらしき顔ぶれも分かってきた。そのうちの何名かとは特にかしこまることもなくリラックスした時間を過ごせるようになった。適当に挨拶を交わしながらの相席も慣れたものである。と、思う。あくまで主観だが。

 

で、そんな休憩時間の中、私がこれまで一度も相席をしたことがない、ただしかしずっと気になっている相手がいるのだ。相手は業務で関わったこともなく、どの部署に所属している方なのかも分からない。分かっていることは外国の方であるということと、ものすごく「お昼の時間、かぶる確率高っ!」なことと、昼食の「内容」である。

 

正直この数か月間、「うち(会社)ごはん」を選んだ日には必ずといっていいほどの高確率でその方に遭遇するのだ。ただ、早めにお昼を済ませたいときに遭遇したことはないので、割と遅いタイミングで昼食をとっていることが伺える。
そして、その方もおそらく私と同じくあのオシャレなソファを好む。これまで一言も話したことはないが、私、ソファを覗く→その方がいる。その方、ソファを覗く(ような空気)→私がいる(ことを察している空気)…のシーンならもう30回以上は経験している。私はもうその方がこのソファでのひとときを好んでいることを知っているから、何度も「相席大丈夫ですよ」オーラを出しているつもりなのだが その方はそのオーラを受け取る前に別のテーブルへ行ってしまう。完全にひとりの時間を楽しみたいのかもしれない。
おそらく相手も(またこの顔だ…)と気がついているかもしれないけれど、かといって私はその方から無言の攻撃を受けていると感じたことはないし、「またこの女か」と目に見えてイラついている様子も特にない。良い方なのだと思う。私はだんだん、なるべくその方の時間にかぶらないようにソファを利用したいような気になってきた。とはいえやっぱりタイミングで止むを得ず近い時間になってしまうことが多々あるのですが…。もし何かのきっかけでその方と会話が交わせるようになったら、「相席どうぞ!」と声をかけたいと積極的に思っている。きっかけって難しいね。

 

で、もうひとつの「気になる理由」。それは先述した「昼食の内容」である。
その方とあまりに遭遇する機会が多いため知ってしまったのだが(決して監視をしているわけではない)、その方、いつもお昼にインスタントラーメンまたはカップ焼きそばを食しているのだ。数回ではない。これまで遭遇したほぼ全てのタイミングでそのどちらかを食べている。しかも他に付け合わせなどもない、完全インスタントオンリー。ちょっと潔すぎる気がする。
これが私の中でとても気になっているのだ。

 

栄養…大丈夫なのか……?

味……飽きないかな……?

 

これを書いている日にも、焼きそばの容器からお湯を捨てているシーンを目撃してしまう。ベコッとなるアレである。

いや、もしかしたら朝食と夕食でとても栄養バランスの摂れたメニューを食べているのかもしれない。この昼食が唯一のジャンクな時間なのかもしれない。もしくは単純にインスタントラーメンの味が好きで大好きで毎回感動しているのかもしれない。私も最初は「日本のインスタント食品が珍しいのかな。もしかしたらそのクオリティに感動しているのだろうか、日本の技術はすごいっていうものなあ…」なんて考えを抱いていた。ただ、それが数回じゃないとなると…まさか血縁関係にインスタント食品開発会社勤務の方がいるとか…そういうことか…(?)!?もしくは、以前の私のように食にそれほど興味やこだわりがなく、「食べるよりも他のことを優先」なタイプなのかもしれないけれど。

 

「おせっかいだな」と自分でも思うし、「いや、むしろ心配したほうがいいはず、たぶん」とも思う。ただ、一度も会話を交わしたことがないのにいきなり「あなたの昼食、ちょっと気になって…」なんて言えない。少なくとも今の私にはまだ…言えない……。

もし今後その方がインスタント食品以外の何かを食している場面に遭遇したら、と考える。私は静かに心の中で(顔に出てしまうかもしれない)めちゃくちゃ驚き、同時に少し安心するだろう。インスタントがいかなるときも悪というわけではない。私の中ではあくまでバランスの話なのだ。


そしてこうも考える。
もし何かのきっかけでその方と会話が交わせるようになって、「相席どうぞ!」と言えるようになったら…そしてそのときにもまだ「いつものメニュー」を手にしていたなら…その次は、その次のステップは、「せめてゆで卵かサラダ、または野菜ジュースを付け合わせにいかがでしょうか。最初は毎日じゃなくても、思い出したときでもいいので…」と提案できたら…と。ほんのりとそう思っている。あれ?でもそれは、英語でのコミュニケーションが前提か?となると、私はジャンクフード好きの男の子をもつ母親のような英語を覚える必要もあるということか。とはいえたぶんこの職場にいる外国の方は日本語喋れちゃうと思いますが、もしものことがあるからな。突然のそのときにうろたえないように、「相席どうぞ!」だけでも英語で言えるようになっておかねば。


まあ、私だって管理栄養士の資格は持っていないし、それが万人にとってめちゃくちゃ正論なのかどうかは分からないし、自分の食生活をしっかり管理できているかといえばなんとも言えないのだけれど(体重増加したし)。

でもせめて、せめて…とハラハラしてしまうのだ。

コミュニケーション、栄養、おせっかい、日本の卓越した技術。バランスって、もしかしたらいつの時代でもどんなジャンルでも難しいものなのかもしれない。