かくしごと(空色MIX)

webライターっぽい女のオタク気質ライフ。 ライブレポ、何かの感想、日常、思考整理。まずは素直な文章を。

【感想】『クソ野郎と美しき世界』はSMAPファンのためだけの映画ではない(と思う)

こういう感想は公開中に見てもらえたほうがいいかな、スピードだいじ!

ということで、エレカシレポと順番は前後しますが

映画クソ野郎と美しき世界を観た感想を書きますね。

 

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※4/17追記

【検索から来てくださった方へ】

なぜか15日からアクセス数が3倍近く跳ね上がっていてびっくりしています。なぜだ。

こちらはSMAP含むいろいろな音楽やエンタメのことなど自由に書きがちなブログです。

映画の展開や重要なセリフなどのガチなネタバレはありませんが、

ネットニュースや公式サイトで既出の情報や世界観はなんとなく散りばめてあります。

作品の詳細な雰囲気は知りたくないなーって方は、映画を観てからご覧いただいたほうが新鮮さがあるかもです。

あ、ただ…引き返す方のために、これだけ。

気になる方はぜひ映画館で観てほしい!」

 

 

では、本編開始!

 

 

正直、アングラで奇抜な世界観を覚悟して行った。

何せ予告動画が既にそういう空気を醸し出していたので。

 

私は映画に疎く、個性的な作品への耐性もたぶんない。

映画館に行ったのも、去年の『無限の住人』以来だった(これは3回観たけれど)。

いくら彼らのことが好きだとはいえ、

もしかしたら作品は私好みじゃないかもしれない、とも覚悟した。

 

そしてダメだった。

何がって?

詳しくはネタバレになる?ので言えないが、

最終章、香取慎吾のショーが始まるところで

もうダメだったよ。

涙がドバーッと出てしまった………

そして、そこからの展開がね……なんだろう?

楽しさしかなかった。

 

あんなの見せられたら、「観て良かった」としか思えないから。

あれは、完全なエンターテインメントだった。

こんな、こんな輝きを見せられては

まるで全てが、この瞬間のためにあったかのような気がしてしまう。

 

生き生きと、キラキラと輝きながら

大きなスクリーンすら窮屈そうに歌い踊るその姿を

「同じく覚悟をしているみんな」に、真っ先に見てもらいたかったかのような。

あれもこれも、全てが

その光に辿り着くための準備だったとしたのなら?

 

そんな錯覚を覚えてしまうぐらいには、

最終章は完ぺきに幸せなエンターテインメント。

自由な瞬間への喜びがあふれたパフォーマンスは、もはや映画館のスクリーンですら収まらない。

 

当然だ。

彼は、彼らは、東京ドームの端から端まで見渡して手を振っていたほどの「目の良さ」を持ち合わせているのだから。

それは単なる視力の良さということではもちろんない。

舞台やスクリーンの先が本当はとても広いことを

彼らは肌で知っているのだ。

 

まあ、観ている人がたとえ一人であっても

3人は同じように笑顔で手を振るのだろうけれど。

 

稲垣吾郎草なぎ剛香取慎吾の3人は

スクリーンの中でもやはり国民的アイドルにしか成し得ることができない輝きを放っていた。

 

【で、ぶっちゃけ面白かったの?】

映画に疎い側の感想として聞いてください。

正直、やっぱり作品全体を通して世界観は個性的で
万人にすすめられるそれではないな、とは思ってしまった。

でも、その振り切り方が個人的には面白かったし
(そもそも、国民的アイドルがその世界観に入り込めることが既にすごいことのような…)
個性的な世界観が懸念だったのに全話気がついたら惹き込まれていたのだから

この試みは成功なのだろう。

 

彼らの「演じることの楽しさ」や「苦しさ」のパワーが、無意識のうちに作品にぶつけられているような気もした。
個人的に好きな話は2作品目の「歌喰い」です。

そして、ファンとしては

画面のどこにいても3人を見つけられるほどの存在感を見せつけられてホッとした。

特に香取慎吾はミュージカルをやったほうがいい。今すぐだ。

香取慎吾は、皮肉にもあれ以降どんどん歌が良くなっている。

この映画を観て、香取慎吾はあんなに歌が上手かったのか?とびっくりする方もいるのではないだろうか。

 

元々声質も良く、歌唱力も高かったと思っているけれど

今は、表現力と歌える喜びが増したように感じる。

 

【「SMAPファンのためだけ」なら、たぶん別のやり方がある】

レビューサイトで、「これはSMAPファンのためだけの映画」的な低評価を目撃した。

えっ。そうなのか!?

おそらく、ファンしか楽しめないぐらいのクオリティだと辛らつに表現したかったのだと思うが

(それらの意見は今のところ少なめではあるようだが)

これは、個人的な意見で言えばむしろ逆だよ。

だってどう考えても、これまでのSMAPファン全員にすすめられる類の世界観ではないもの。

ライトなお茶の間層には、さらにすすめにくい。

 

どちらかというと、たとえば

「アングラでサブカルな映画を好む傾向の人」だったり(いや本当にアングラでサブカルな作品はもっとすごいのだろうけど)、

好きな監督や作品、そして苦手だった作品をパッと複数挙げられたりするほどに

映画鑑賞が身近にある人に似合う映画ではないのかな。

良い悪いに限らず、映画を観ることが好きな人が特に楽しめる世界観だと思う。

そして、デザインやクリエイティブなことに造詣が深い人。

きっとクリエイティブな視点やアイデアを持っている人はより楽しめるし、刺激になる。

 

彼らのやること為すことを何でも受け入れられる人は別として、

「今までの彼ら」だけを求めているファンにとっては、この作品は博打でしかない。

ストレートな「素敵」「おかえり」だけを目指していたら、本当に「ファンのためだけ」の作品を作っていたのなら

もっと分かりやすい、普通に笑って泣けるドラマのようなコンセプトにしただろう。

 

【じゃあ彼らはなぜ普通ではない「クソ野郎」に?】

ファンのため、も そりゃあもちろんあるだろうけれど

スタッフや携わるクリエイターが、彼らの新しい一面を引き出したかったのもあるだろうし

何より彼ら自身が 

知らない自分たちを見たかった好奇心もあるのではないかと思う。

本当にきっと、何でもやりたい人たちなのだよ。

そして、「そういう場所」があることの素晴らしさに再び気づけた顔をしている。

 

確かにファンやお茶の間含め、一定の人たちを置き去りにする危険性を秘めている試み。
でも、この試みで新しい層を取り込める可能性を秘めていることも
彼らの新しい一面を知れたことも確かなのだ。

 

近いうちにもう一度観に行きます。

 

 

以下は章ごとの軽い感想。

の前に、どんな映画か全く知らない方のために少し紹介すると

各章ごとに異なる「クソ野郎」が登場する、オムニバス形式の作品です。

オールジャンルムービーと題されていることからも、どんな作品か一言では説明しづらいけれど

最終章で何かがつながります。

が、個人的にはめちゃくちゃ伏線がある系のそれではないかなと思ったので

そこを軸に期待しないほうが楽しめるかも。

クソ野郎さに重点を置くか、美しさに重点を置くか、でまた見方が変わりそう。

どちらの視点からも観てみたいな。

 

【ピアニストを撃つな!】

追われる女と追う男、

そして、何も知らずに愛される男。

冒頭の稲垣吾郎の話は、感想にもチラチラ見られる通り

確かに「?」感は漂った。

このテンションで大丈夫なのか?感というか、

客席にいた比較的年配のご夫婦が席を立たないか勝手に心配してしまった。

 

(〜妄想〜)

「今日は映画でも観ようか。」

「そうね、あなた。あら、ちょうど元()SMAPの慎吾ちゃん、剛くん、ゴローちゃんの映画がやるわよ」

 

なんて和やかな穏やかな会話を交わして観に来た方たちだったらどうしよう?

ハラハラしたのだが、そもそも「クソ野郎」のタイトルで何かを察して来てくれているよね!?と信じることにした。

(ていうか、そこそこ年齢が上の男性が客席にチラホラいたのだが どうしてだったのだろう)

 

そう、結局誰も席は立たなかったし、ここは非現実の扉。

序盤からぶっ飛ばしてくれたことで、この作品が本当の新しい挑戦であることが明確になって逆に良かったような気もする。

桃色の映像が綺麗。

写真展や美術展のような、という感想を見たけれど、ああなるほど、と。

稲垣吾郎のパブリックイメージをこういう風に利用する手があったのか、というか

全員実験しているような作品。

稲垣吾郎の変幻自在の「愛してる」と、馬場ふみかのスタイルは芸術。

浅野忠信満島真之介の、悪役なのにちょっとドンくさくてカワイイぞ感も面白い。

 

【慎吾ちゃんと歌喰いの巻】

香取慎吾中島セナの歌喰い、個人的にはいちばん好みだった。

ネタバレは控えるけれど、これだけは。

「歌?ひとりで?」に絶句した。

この、全員は見ない世界じゃなきゃ言えなかっただろう。

自分の歌を食べられてしまう設定の香取慎吾が歌おうとする3つの歌が、

あの超有名な3曲なのではと話題にもなっているのでこれから観る方はそちらにも注目してみては。

「いちばんアレなのにしよう」

頭文字だけで予測がつく偉大さと悲しさ。

 

クソ野郎のクソがクソということに衝撃(観た方はこの言い回しでたぶん分かる)。

どこまでも普通を捨てた奴らだ。なのになぜか温かさが残る。

そして、香取慎吾の存在感が異常ということが改めて分かった。

隅っこにいるだけでオーラがすごいのだ。
さらに、まだ生まれて10年ちょっとの中島セナの存在感もすごい。

まだ10年と少ししか生きていないのにあの世界観に溶け込めるのは天性ではないのか。

この役はこの子しか考えられないかも。

(刑事役の女性もあの方しか考えられないかも)

 

しかし冷静に考えると

「持ち歌を歌えなくなった」香取慎吾役を演じる香取慎吾、って、作品とはいえよくチャレンジできたなあ。

 

【光へ、航る】

草なぎ剛爆笑問題・太田さんのコラボレーション。

失われた息子の右腕を探す旅に出る、

ちょっと変わった関係性の夫婦のストーリー。

いちばん「きちんとしたストーリー仕立ての映画」っぽくはあるが、ひょっとしたらいちばん難解かも。

いや、嫌ということではない。

監督が太田さんだから覚悟はしていたんだ。

太田さんの頭の中を一度で噛み砕くなんて、私には無理な話だ。

太田光は意外と真面目だ」

という感想を見たが、同意する。

SMAPに提供した曲の歌詞を見てもそう思う。

http://j-lyric.net/artist/a002907/l021a22.html

好みは分かれるだろうけれど。

 

え?いまどうしてこうなったの?

と展開の早さを感じるのは、私が映画に慣れていないからなのだろう。

テーマは重めであるが、時事ネタやクスッと笑える部分も随所に盛り込まれており

実はバランスのとれた作品かもしれない。

笑いのツボが似ている人と観たら同じところで笑うのだろうか、なんて考えたりもした。

小説っぽい中毒性があり、また体験したくなる。


「え?難しいの?」と不安になった方、大丈夫ですご安心ください。

そもそも草なぎ剛が冒頭から悪くて渋くてカッコ良すぎるので、そのカッコ良さにああああとなっているうちに話が進んでいるので私が勝手に分かりにくくなっている説もあります(?)。

彼の悪シブ演技には色気がある。

役が憑依するのか、元から秘めているのか。さてどちらだろうね。

 

あと、草なぎ剛「何かを我慢する」演技って最高じゃないですか?

泣きたいけど泣けない、泣かないつもりが泣いていた……

そんな感情の揺れ動きを表現させたらピカイチだと思います。

 

【新しい詩】

そして、先述した通り

涙がドバーッと出た最終章。

「頼むからここまで辿り着いてくれ、みんな」

と本気で思った。

あれ?と思った方も、挫折しないでここまで来てほしい。

監督は、SMAPの『華麗なる逆襲』のPVの監督でもある映像ディレクターの児玉裕一氏。

華麗なる〜の続きかな?と錯覚するぐらいには、全く出し惜しみしていない贅沢な世界観。

期待を全く裏切らない作品だった。

この最終章単体でPVとして公開してほしい。

キャスト全員がショータイム。誰もが輝いていた。

ライブレポートでも一時期よく見た「多幸感」って、きっとああいう瞬間だろう?

毛色は違うけれどラ・ラ・ランドのオープニングを少し思い出した。

 

そこにいたのは自由なエンターテイナーです。

さまざまな記事でも明かされているため話してしまうが
最後、歌いますから。踊りますから。

香取慎吾が魅せますから。

そう、映画のために作られた『新しい詩』という新しい楽曲を歌い始めてからの香取慎吾

本当に素晴らしいのだよ(涙)!!!

思い出して今また泣きそうになっています。そのあまりの輝きに。

階段が出てきたら、それは無限のワクワクの合図だから

お願いだからスクリーンから目を離さないで。

いや心配しなくても、あなたも釘付けになるだろうけれど。

 

エンタメ、クリエイティブなことが好きなら
絶対にあのシーンは観てほしいのだ。

 

もちろん、稲垣吾郎のピアノも草なぎ剛の演技も良い。

各エピソードの後日談もなかなか良かった。

まあみんなが「あの場にいた」偶然は偶然すぎないか!と思うけれど、

そのファンタジーさもなんだかミュージカルっぽいや。

 

【映画の音楽について】

あまりに最終章の歌唱シーンが気に入って、『新しい詩』をまた聴きたくなって

配信中の映画用サントラを購入しました。

 

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この曲を聴きながら最終章の感想を書きました。

 

新しい詩

1曲だけでも買える。250円!

サンプルで少しだけ聴けるのでぜひ!!

カスタマーレビューも高評価。

だよね。あれはそうなるわ。

うんうん頷きながら全てのレビューを読んだ。

 

私は他の曲も結局聴きたくなりそうだったので

こちらの5曲入りを購入。1000円。

 

クソ野郎と美しき世界 THE BASTARD AND THE BEAUTIFUL WORLD -Original Soundtrack-

クソ野郎と美しき世界 THE BASTARD AND THE BEAUTIFUL WORLD -Original Soundtrack-

 

 

お得だな?そのうちの2曲は、彼らの歌声メインだよ?

そう、『新しい詩』は香取慎吾のみの歌唱だが

もう1曲は稲垣吾郎草なぎ剛の楽曲なのです。こちらも良い。

Amazonの聴き放題サービスの無料体験でも聴けるみたい。

でも、スクリーンで観て聴いてからのほうがより感動するかもしれない。

 

【総括】
音楽と光があれば彼らはどこにいたって輝く。

その生き生きとした輝きを

こっそり(来たい人しか来ない映画館という意味で)目撃させるために、

この難解で振り切った映画を作ったのか?

と錯覚するほどに

終始楽しさと喜びに満ちている彼らだった。

 

正直、そこまでアングラな世界観にいかなくてもとは思う。率直な感想としてはね。

でも、確かに彼らは美しいのだ。

演じることも歌うことも踊ることも笑うことも、本当に楽しそうなのだ。

 

だからこそ勿体ないと感じる点もあるし、

より分かりやすい形で届く作品も観てみたいけれどね。

お茶の間を笑顔に変える、当たり前の普通の魔法を使う彼らも

きっと見られると思っている。

 

稲垣吾郎の色気と感性はどこまで面白味を増すのか。
香取慎吾はどこまで開放され輝くのか。
草なぎ剛はどこまで憑依してどこまで魅せるのか。

新しい地図の描く次の未来をまた楽しみにしていよう。

 

映画に疎い私が、なんだかんだ飽きずに2時間楽しめたから
よっぽど個性的なのが無理!という人でなければ全編楽しめると思うよ!

気になる方はぜひ映画館へ。

大丈夫大丈夫、
新しい世界、そんなにこわくない。

 

【パンフも買いました】

開始前に笑顔でクソ野郎と美しき世界のパンフレットください」と告げました。

私も立派なクソ野郎になったものだわ。

 

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ここまでの文章はパンフレットを読み込む前に書いたものですが

いまじっくり読んだら、おおお!と答え合わせできたことがいくつもあって

買って良かったと思った。

 

太田さんのインタビューも、ああ、やっぱりこういう人だったのだなとますます好感を持った。

 

「人間を愛おしく思うような意味合いが全体的にあるような気がしますけどね、クソ野郎っていう言葉の中に。」

 

一部抜粋。この映画や人との関わりの本質を言い表しているのではないか。

 

企画者のひとり、多田琢さんのインタビューもとても良い。
映画だけではなく生きていく上で参考になりそうな言葉の数々。

 

自分の内面の嫌な部分と折り合いをつけながらみんな生きている、と話すくだりの、この部分がとても好きだった。

 

「嫌な部分が何かの拍子で出ちゃったら、ほかの部分で埋め合わせをすればいいんだし」

 

ああ、いいアイデアだなあ。ありがとう多田さん。

明日もがんばろう。

 

続きはぜひ、買って読んでみてくださいね!

 

 

【おまけ】

浅野忠信(まさお、その節はアライフというドラマでありがとうな)のワケ分からん優しさもなんか良かったしさ、

満島くん(その節はBG身辺警護人というドラマと無限の住人という映画でありがとうな)の舎弟っぷりも良い味出していたしさ

健太郎くん(その節はBGであり…)も強烈な存在感あるしさ、

脇を固める豪華キャストにも、もちろん注目ですよ。

 

……って、最近の木村拓哉と共演した人多すぎじゃんかー!!?!

これは……まあ……

偶然だろうけどねっ。

 

 

【4/18追記】

土曜日に2回目観ました!
2回目のほうがいろいろ気づけてより楽しめた。

そっか、あの人があの人でもあるのか。

そして歌の歌詞、なるほど…!

って、え?ベーグルにそんな意味が?

ムキムキが…え??

観たあとに、SMAPファンのみんなが「もしかしてそれって…!」な視点でさまざまな解釈をしていることを知った。お、面白い!!

確かに少しは「におわせている」と感じたところはあったけれど、そんなにあったとは。

解釈全部が本当かは別として、偶然だとしてもドラマチックな物語だ。

公開終了したらもっと細かい話を書けたらいいな。